指宿・頴娃の拱橋

現在までのところ、旧指宿市街地に残る拱橋(アーチ型の橋梁)の遺構を2ヵ所で確認しており、何れも上部に敷かれた道路と拱型の間を布積みの壁石で補完する充腹式です。

山王川の拱橋 右の画像は山王川に架かるもの。雑草に覆われているため、外観を観察しづらくなっています。照國公(島津斉彬)の指宿八景御詠のうち“鼓橋夕照”に詠まれていたと考えられる旧二月田橋同様、国道226号線(頴娃街道)の一部ですから、構造的に近いものである可能性も考えられるものの、径間3.½m程度、拱矢2m程度。旧二月田橋の拱矢比(径間/拱矢)は2.66でしたから、明らかに腰高です。


丹波川の拱橋


もう一本は、橋牟礼川を挟んで山王川の北を流れる丹波川に架かっており、国道ではなく、国道から筋を一つ西側に外れた小田-丈六線にあります。

径間2.½m程度、拱矢1.½m程度でしょうか。小振りながら、形状は山王川の橋に近く、構造を確認し易いことに加え、周辺の石組み等も残されています。

これら2橋については、指宿市土木課では既に橋梁として認識されていないことから記録が残されておらず、名称を含めて詳細を知ることができませんでした(2017721日現在)。

念のために第一二月田橋の周囲の遺構も確認してみましたが、袂に石組みが残されているのみで、それも谷積みですから、旧二月田橋の一部というよりも、天保の二反田川改修工事の際の護岸壁ではないでしょうか。岩永三五郎がらみではありますけど・・・。

何れにせよ、現在の第一二月田橋は、照國公御詠の“鼓橋夕照”に当てる場所としては、画ヅラの悪すぎる噴飯ものです。


指宿で最も知られた拱橋は“岩永三五郎”のページで紹介している宮ヶ浜の湊川橋ですが、湊川には他にも以下のような拱橋が架かっています。当時“指宿”として認識されていたとは考えにくい場所にありますので、ご参考まで。

 

湊川の永宝橋 右の永宝橋の画像は、“湊川層”のページにある最初の画像とほぼ同じ場所からの一枚。湊川層の露頭を探していた時にも存在に気づいてはいたのですが、来歴を調べるにも苦労しそうな土木遺産をコンテンツに加えることに抵抗があったため、画像も確保していませんでした。石工は明らかではなく、鹿児島県立石橋記念公園のデータ・ベース“鹿児島県・石橋検索”に拠れば、径間7.6m、拱矢4.1mと、これも旧二月田橋(径間7.27m、拱矢2.73m)と比べれば腰高です。

改めて訪ねてみると、場所や形状はさておき、斉彬公御詠に最もふさわしい佇まいにも思えます。

この橋の向こう側は ㈲吉元商会の資材置場。“ほたるの里 吉太川”です。毎年5月初旬に蛍の鑑賞会が開催されています。

  湊川の朝日橋

永宝橋から上流に進み、幸屋(こや)の十字路の手前にあるのが朝日橋。径間6.33m、拱矢3.80m(“鹿児島県・石橋検索”)。永宝橋同様、石工は不詳ですが、普段の水量であれば、足元を濡らすことなく拱型の下から構造を確認することができます。

 

湊川のもう一本は狩集橋。永宝橋からは下流、湊川橋からは上流にあたります。橋名は“かりやづまり”、近くのバス停は“かりあつまり”。地元では“からすまい”です。 湊川の狩集橋

これも石工不詳ながら、径間8.7m、拱矢3.2m(“鹿児島県・石橋検索”)と拱矢比2.72ですから、旧二月田橋に近い形状です。残念なことに壁石を外側からコンクリートで補強する形で拡幅されているために原面を確認することはできませんが、拱橋の内側はそのまま残されています(現在の幅員10.17mのうち6.22mが拡幅部で、石橋の幅は3.95mです。旧二月田橋の幅は3.42mでした)。


“鹿児島県維新前土木史(鹿児島縣土木課,1934年)”に拠れば、岩永三五郎による橋梁は、旧二月田橋と同時期の弘化年間に五間川にも架けられており、自動閘門5扉を備えた径間5尺(1.52m5連の花崗岩橋であったようですが(但し、拱橋ではなく桁橋です)、現在は跡形もありません。甲突川五石橋のうち1993年の集中豪雨による流出を免れた3を河川改修に伴い移設・復元した鹿児島市とは基本的に姿勢の異なる自治体です。

失われてしまった遺産をとり戻すことはできません。


 

頴娃の拱橋

照國公揖宿八景御詠のうち“鼓橋夕照”の流れでまとめたページとはいえ、“指宿・頴娃ジオガイド”と銘打っている以上、頴娃の拱橋を取り上げないのは片手落ちとなりますから、Google My Maps®にプロットしてみました。一ヵ所、開聞仙田のものが含まれていますが、開聞郷もかつては頴娃の郡の一部であった、ということで・・・。

このページで採上げている指宿の拱橋は、“指宿・頴娃ジオガイド・マップ”のほうにプロットしています。





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